ログイン

研究概要

研究概要

 大学入学者選抜に抜本的変革が迫られている。2021年度入試からセンター試験に代わる大学入学共通テスト(以後、新共通テストと略記)が導入され,思考力・判断力・表現力等を含む高次の学力測定が想定されている。主体性・協働性・多様性の測定は各大学に任される。個別大学にかかる負担は格段に重くなると予想される。長年,入試改革の流れは評価の真正性(authenticity)の追求にあり,個別大学でも改革の流れに沿う新しい入試の導入が相次いでいる。真正な入試の難点は膨大な手間暇と評価の妥当性・信頼性,公平性の確保にある。一方,評価の真正性への志向は世界的趨勢である。労力注入型の制度もあるが,PISA等の国際比較調査,フィンランドの大学入試へのCBT導入等,ICT技術の導入も進んでいる。海外の制度の模倣が問題解決するかは疑問だが,反面教師も含めて参考にすべき事例は多い。大学入試における真正な評価の試みは理念と現実の狭間で大きく揺れてきた。それは現場の問題を総合的,俯瞰的にとらえる学術的視点の欠如による。申請者は学際的研究手法の融合により大学入試学(Admission Studies)という学術分野として確立させる必要があると考えた。本研究は,評価の真正性と効率や公平性のバランスを取り,実施可能性 (feasibility) の高い大学入学者選抜方法の開発を通じて基盤となる理論及び実践モデルを提示する。
 研究課題を堅実型選抜方法と挑戦型選抜方法に分類,班方式の研究組織に基づいて,それぞれ効率性,妥当性・信頼性,公平性を担保する選抜方法の開発を試みる。